中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3594回
成都ヨーカ堂の成功に見習え

私はたまたま中国の経済が発展する過程で
日本の企業がはたす役割があることを確信していたので、
日本の企業の進出の世話をしたり、
自分もその中に割り込んで事業に参加したりしてきました。
また中国経済の発展と共に
日本企業の影がうすくなることも予想に入れていましたので、
いまに輸出入の方向が逆転したり、
中国に進出した日本企業が
逆に日本の本社を養う時代が来ることも予想の中に入れていました。

昨今のように日本の不景気が長期化する気配を見せはじめると、
日本企業の大陸進出はいよいよ本格的になります。
私が日本の流通業者の中国進出にかかわってから
既に10年以上の歳月がたちましたが、
かなり以前から日本国内の不況の長期化を予想して、
いまに日本の流通業界が大挙して大陸に進出する時代が
必らず到来すると確信していました。

日本の流通業の商売のやり方は中国人のそれとかなり違います。
商売なら中国人の方が日本人より上手だと私は思っています。
しかし、中国人は物を右から左へと移すのが巧みなだけで、
品揃えから客扱いまでのサービスでは日本人に遠く及びません。
ですから日本人の活躍する舞台があると考えて、
イトーヨーカ堂の伊藤雅俊さんに誘いをかけて
ヨーカ堂の1号店を成都市にひらいてもらいました。

はじめは勝手が違って、開店初日の売上げが予想の額に達せず、
1日目に担当者が大家である私に家賃の減額を要求したので、
私はひっくりかえる程驚いたことがあります。
しかし、あれから10年間、たゆまない努力をしたおかげで、
さして大きくない1号店が
全イトーヨーカ堂グループで第1位の売上げをあげるようになり、
続く2号店、3号店が第7位までにランクされるほどの
好業績をあげているときいています。
これも10年の間に現地で働く日本人が
中国人の商習慣をほとんど完全にマスターし、
中国人に心より受け入れられるようになったからにほかなりません。
ヨーカ堂の大へんな努力の結果だと私も賞讃を惜しみません。


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2010年1月11日(月)

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