中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3595回
中国で働く日本人の人材養成が必要

ヨーカ堂の成都店はヨーカ堂グループの中でも
トップを抑えるほどの好業績ですが、
北京店が7店舗あるうち半分以上がまだ
赤字を解消できないでいるときいています。
どうしてかというと、
北京は世界中のスーパーが乗り込んでいて
中国でも一番競争の激しい商圏だということもありますが、
ヨーカ堂が建物の賃貸をするに際して
中国の商習慣に精通していなかったために
家主との意思の疎通がうまく行かなかったせいもありますし、
また場所選びに際して顧客の動きを読み違えている面もあります。

しかし、一番影響が大きいのは、
中国人の研究が成都に比べて足りなかったことと、
急速に支店をふやすに際して、中国のことを知らない幹部を
いきなり日本から送りこんで来たことと関係があります。
とりわけ北京は同業者の競争が激甚なだけでなく、
中国経済の成長が全世界から注目を浴びているので、
ちょっと油断するとすぐにも業績に響くのです。

金融不安の影響でここのところ更に一段と
業績に響く動きが見られるので、
北京は成都に人員の応援を頼み、
修復に全力を尽しているようですが、
中国で実業の成功に一番響くのは
何と言っても中国人の商習慣に精通することです。
伊勢丹の上海や天津を見てもわかることですが、
中国で事業を展開して失敗しないためには
少くとも10年の経験を積んだ
プロのスタッフを抱えていることが必要です。
ですからいま頃、のこのこ上海に出店する高島屋は、
台北でいくらか経験を積んでいるとはいえ、
かなりの覚悟が必要でしょうね。

実際には吉野家やサイゼリアにせよ、
次から次へと日本のレストランやチェーン店も
大陸進出に動きはじめています。
レストランやチェーン店はデパートやスーパーに比べれば
神経を使う範囲は限られていますが、
中国で商売が根を下ろすまでに少くとも10年の歳月が必要です。
そのためには中国人の中に入っても
バカにされないだけの日本人の人材の養成が必要なのです。
中国人ではなくて、日本人の若い人材ですよ。


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2010年1月12日(火)

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