中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3601回
中国の不動産をどう見ればいいか

ことし以後、中国経済が強気の展開をするとしたら、
中国の不動産はどういう動きになるでしょうか。
何しろ金融不安の影響で世界的に経済の落ち込みがはじまると、
中国は年8%の成長を維持するために、
景気の刺戟に4兆元からの予算を組んだだけでなく、
消費を奨励するために、
不動産と自動車の売れ行きを促進する優遇策を
あれこれ打ち出しました。
そのおかげで全国で建ち腐れになっていたマンションまで
かなり売れただけでなく、
北京や上海では不動産の値上がりが目立つようになっています。

景気が悪いのも困りますが、
不動産の値上がりがブームになって、
物価まで押し上げるともっと困ります。
ですから政府がそろそろ銀行融資に制限を加えたり、
奨励策を打ち切ったりするのではないかと思っていたら、
預金準備率を0.5%引き上げる旨の発表がありました。
不動産業界の中には好業績であるにも拘らず、
株価は上がるどころか、
逆に泣かず飛ばずになっている企業が珍しくありません。
投資家にとって
判断が分かれる時期にさしかかっていると言ってよいでしょう。

中国人が最も得意とする商売は家を建てるビジネスです。
経済の成長がはじまるスタート時点で、
日本のゼネコンもいち早く大陸に進出しましたが、
今日も中国のゼネコンと互角の競争のできる日本のゼネコンは
1社も残っていません。
当然の成行きとして
不動産に異常な関心と執着を持っているのも中国人です。
ですから、中国の不動産投資で日本人が成功するためには、
中国人のそうした心理をよく知る必要があるし、
またいくら広大な土地であっても、
そこに更にアメリカに負けないくらい
高層建築を建て続ける中国の不動産業界を
どう評価するのが正しいのかという大きな問題が控えています。
私は中国の不動産は土地の上につくられた工業製品で、
日本のように稀少性で勝負のできる、
従って一本調子で値上がりの期待できる
投資対象ではないと思っています。
しかし、それでも人々の関心を集める投資対象であることも
また事実ですが。


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2010年1月18日(月)

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