中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3600回
ことしの中国株は強気の展開に

お金をパッパと気前よく使う階層が誕生しただけで
経済に大きな変化が現れるものかと
首をかしげるかも知れませんが、
それが中国の消費経済を
抜本的に変えてしまう可能性があります。
日本でも日本が経済大国になったのは
メイド・イン・ジャパンの工業製品が
世界中に売れるようになったからだと
思っている人が多いかも知れませんが、
日本の輸出が国民総生産の中で占める割合は
一番多い時でも12%にすぎないのです。
それでいて経済が年々成長したのは、
産業の発展するプロセスで
賃上げや米価値上げのデモをくりかえし、
年々所得の増昇が続いて、国内で物が売れ続けたからです。
何も物を外国に売って外貨を稼がなくとも、
原料の代金の支払いができるだけ製品の輸出ができれば、
国内の消費が続くことによって経済の成長が可能だったのです。

中国の場合は「世界の工場」として成長する道程で、
外貨の導入もあったし、その分だけスタートの時点から
輸出が大きな割合を占めてきましたが、
世界的なリセッションによって先進国への輸出が激減しても、
国内所得がふえて国内消費が年々ふえることが起れば、
輸出が好調だった時代と同じ経済効果を産業界にもたらすのです。

ただ国内消費が輸出の減少した分だけ萎縮して
成長率を下げる可能性もないではないので、
国の政策を固唾を飲んで見守っていたのですが、
実際に起っていることは国の景気対策よりも
ニュー・ミドルクラスの台頭が目の前で起っていることです。
収入のふえた分だけ新中産階級が気前よくお金を使えば、
そのあたえる経済効果は輸出の衰退を補ってあまりがあることが
はっきり見えてきたのです。

もちろん、そのくらいのことで
政府が8%成長を確保するための
経済対策の手をゆるめることは考えられませんが、
今年の中国の株式市場は強気の展開になると
私は胸を撫でおろしているところです。
旧正月をすぎたら、
いままでに考えられなかった新しい動きが
少しずつ株価に反映されるようになるのではないでしょうか。


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2010年1月17日(日)

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