中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3603回
不動産業という工業製品メーカーに注目

経済成長が続いている間、
不動産は値上がりを続けるものだということは、
日本人なら誰でも知っています。
経済の絶頂期には、たとえ経済がおかしくなっても、
土地や建物なら大丈夫だと日本人は信じていました。
そのおかげで、景気対策が遅れ、
バブルからの恢復に時間がかかったと見ることもできます。

羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹くと言いますが、
土地神話の崩壊でひどい目にあった日本人は
中国の経済成長に伴って、
中国で不動産の値上がりが起ると、二言目には
「それッ。バブルの崩壊だ」と叫びます。
中国の経済成長は私の目から見ると
まだ成長がはじまったばかりで、
マイホームを持たない人が大半なのに
「それ見ろ、もうおしまいだ」と叫びます。
上海や北京で金持ちの人たちがマンションを2軒も3軒も買って
値上がりを待っているのを見ると、
単純にバブルの発生につないでしまうのです。

必要のない人が投機の対象として
マンションを買い占めることは確かに問題ですが、
中国人のバクチ好きには日本人の常識をこえるものがあります。
しかし、不動産は産業界に陽が当った時に写し出される
影のようなものですから、
産業界が駄目になれば影がうすくなりますが、
経済が成長し続けている限り、
影は大きくなり続けると考えていいと思います。

たとえ不動産は
土地の上に大量生産でつくられる工業製品だとしても、
経済が発展を続ける限り新しい富が発生し、
それが不動産を買いにまわりますから、
不動産に対する需要はふえ続けます。
古くなった不動産が
日本の不動産のような上昇を続けるかどうかについて
私も保証はできませんが、
不動産への需要は今後も衰えを知らぬ勢いで
上昇を続けると見ていいでしょう。
もしそうだとしたら、不動産業という工業製品メーカーは
景気不景気の影響は大きくうけますが、
中国の成長経済の中でも
衰えを知らぬ成長部門の一つと見ていいのではないでしょうか。
そういう別の目で不動産業を見直す時代が来たのです。


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2010年1月20日(水)

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