中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3611回
お金が日本から海外へ逃げ出す番です

ことしはお金が日本から逃げ出す番です。
お金がすっかり臆病になっているのです。
どうしてかというと、
アメリカやヨーロッパの景気の恢復が思うように行かない上に、
日本の政権交替が
日本の政治に次から次へと思わぬ難題を持ち込んで、
国の手元不如意が
誰の目にもはっきり映るようになってきたからです。

1年にたった40兆円の税収がないのに、
90兆円もお金を使う予算が組まれたら、
誰だって増税の時期は近いと思い込んでしまいます。
ですから、お金はちょうど円高で、
日本から持ち出すには有利な時期にあるし、
日本の株なんか買っているより、
中国かベトナムの株にでも投資した方がましだと考える人が
ふえたとしても不思議ではありません。
お金の方が逃げ足が早くて、人間だけが置き去りにされる可能性が
いよいよ大きくなっているのです。

しかし、中国株やベトナム株が
双手をあげて皆さんのお金を迎え入れてくれるかというと
必らずしもそうではありません。
ベトナムでは通貨安が相場に悪影響をもたらしているし、
中国では不動産の値上がりにブレーキをかけるために
金利を引き上げる可能性が強くなっています。
いずれも株をやる人にとっては不安材料なので、
恐らくこれから旧正月に向って弱含みの相場が続くでしょうし、
臆病な投資家たちは株を現金に変えて、
現金を枕に正月を迎えたいと思う人も
少くはないのではないでしょうか。

日本ではデフレで商売をやっている人たちは
バーゲンに続くバーゲンで頭を痛めていますが、
中国では新中産階級が誕生して
気前よくお金を使う人がふえています。
それが消費を押し上げる動きにまで発展しつつあるので
金利を上げたり、銀行の貸出しを抑える政策が
少しずつ出てくる可能性が強くなっています。
本当はブレーキのかかる時の方が
経済の恢復力が強くなる時だと私は見ています。
ですから今年の中国は
意外に実りの多い年になるのではないかと楽観しています。


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2010年1月28日(木)

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