中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3613回
航空会社の株は万年低空飛行です

日本航空が事実上、倒産して
株価がたったの1円まで暴落してしまいました。
何の役にもたたない株券に1円なりと値がつくのは
将来もしかしたら古道具屋の店先に並ぶ日もあるのではないか
という思惑があるからでしょうか。

国を信じ、日本航空を支持してきた人には
申し訳のたたない話ですが、
世界中を飛行機に乗ってとびまわる人にとって
なくてならない大切な交通機関が
実はもっとも経済価値のないものであることを
広く天下に示したことになります。
私はこの齢になっても年に百回以上も
飛行機に乗って地球上をとびまわっていますから、
飛行機の恩恵を最も蒙っている地球人の1人でしょうが、
不思議なことに航空会社の株だけは1度も買ったことがありません。

日本が中国政府も承認したために、
日台航路が一時途絶えた時も、
私は日台間の再開に駆けまわったりしたことがあります。
また雲南省の山奥でコーヒーの栽培をはじめた頃、
定期便が飛んだり飛ばなかったりする度に、
よっぽど小さな飛行機を2機か、3機購入して
飛ばそうかと思ったこともありましたが、
我々ズブのシロウトが何回ソロバンをはじいても、
ソロバンに乗らないのが航空便なんです。

人が乗らないために空席のまま飛んでも無駄になるのは
ホテルと同じですが、
ガソリン代が値上がりしても駄目だし、
パイロットや乗組員にストをされても駄目。
サーズやインフルエンザの大流行で旅客が大量に減っても駄目。
どんな理由にせよ、
飛行機事故が起ったらもっと駄目。
世の中、観光ブームになって
これだけ旅行者がふえているというのに、
どこの国でも航空会社の株は万年低空飛行で、
必らずのように整理再建の対象になってしまうのです。
キャセイなら大丈夫、
シンガポール航空なら大丈夫などと思わないことです。
ほかに株価の上がりそうな業種や銘柄はいくらでもありますから、
何も選りに選んで航空会社の株にとっつかまることはありません。
肝に命じておく大事なことの1つと考えて下さい。


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2010年1月30日(土)

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