中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3614回
ホテルはお金を払って泊まる所です

ホテル株も私が手を出さない株の1つです。
立派なホテルは1軒建てるだけでも莫大なお金がかかります。
高度成長期は不動産も年々値上がりしましたので、
帝国ホテルも第一ホテルもロイヤルホテルも
株価が年々高値を更新した時期がありました。

そうした動きに乗って地方都市や観光地に
ホテル・ブームも起りましたが、
高度成長期がすぎると同時に、
国内観光ブームも風前の灯と化し、
代わって海外の観光地にホテルを建てる動きも目立ちましたが、
いまそれが一巡して見ると、ホテルの採算も
航空会社の採算と似たり寄ったりの動きになっています。

ホテル・チェーンをつくってきた人たちは
ホテル以外の事業にまで知恵がまわりませんから、
世界中の大都市とか観光地に次々と新しいホテルを建設します。
でき立ての時はお客が安定しませんから、
客集めに必死になります。
何年もかかってやっと赤字が消えると、
すぐお隣りにもっと立派なホテルが新しく建って
こちらのお客を奪いにかかります。
莫大な資金をかけてつくったものですから、
そう簡単に廃業もできないし、他に転用もできません。
かくて、東南アジアでも、中国の振興観光地でも
次々と新しいホテルが建っていますが、
採算の悪さは航空会社とどっこいどっこいということになります。
従って香港のホテルでも、シンガポールのホテルでも、
ホテルの株価の動きは似たり寄ったりで、
中国のホテルが上場の頃は派手な存在だったのに
その後何とかなりそうで何ともなっていないのと
同じ動きになっています。

しかし、その一方で中国で
ニュー・ミドルクラスの台頭が目に見えてきましたから、
観光ブームがいよいよこれからはじまろうとしています。
恐らく休みになったら、飛行機の切符も買えなくなるでしょうし、
ホテルの部屋も取れなくなるでしょう。
それでもホテルも航空会社も
株価が暴騰するほどお金が儲からないのです。
株式投資をやる人は早とちりをしないことが大切です。


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2010年1月31日(日)

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