中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3661回
外人さんも日本株を買える時代に

私が株の話をはじめたのは、
ちょうど戦後の産業界の復興がはじまった頃でした。
今でこそメイド・イン・ジャパンは
世界中からかなり高く評価されていますが、
その頃は「安かろう、悪かろう」が日本製品の代名詞でした。

そうした中から日本社会の工業化がはじまったのですが、
工業化のプロセスで
海外資本に牛耳られるのをおそれた日本政府は
外資の進出をきびしく制限しました。
工業技術は欧米から取り入れなければ、
技術の進歩は不可能なのに、
産業界を壟断されることを怖れて外資をきびしく制限したので、
「猿真似だ、技術ドロボーだ」と言われた半面、
日本人の個性を発揮する
ユニークな発展にもつながって行きました。
300年も鎖国を続けた国だけに、
日本人は排他的な気風が身につき、
自分たちが考えるよりも、
ずっと排他的な国民だという印象をもたれています。
先進国でいまなお海外からの移民をきびしく制限しているのは
日本くらいなものです。

それに比べると、
共産体制下の中国でさえ開放政策がスタートすると、
全面的に外資を受け入れ、
その技術をたちまち自家薬籠中のものにしたので、
中国人の方が日本人よりはずっと解放的なことがわかります。
しかし、こうした違いは今にはじまったことではなく、
遣唐使の昔から一貫した民族の個性で、
それぞれの長所にも欠点にもなっていると言ってよいでしょう。

そして、その好むと好まざるにかかわりなく、
世界中がグローバル化の時代を迎えることになります。
日本は外資を拒否して工業化をすすめましたが、
「国際貿易を生命線」と認識する以上、
そういつまでも扉をしめて臼をひいているわけには行きません。
やがて扉をひらいて、
外国人が日本株を買える時代を迎えることになります。
日本の株式市場を一変させたのは、
外資に門戸をひらいた時です。
ひらいた途端に日本経済は大きく一変してしまったのです。
小さな隙間からお金がドッと流れ込んだのです。


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2010年3月19日(金)

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