中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3725
自動車ブームに追いつけないものが

日本で自動車ブームがはじまった頃、
私は自動車ブームの到来を予感しましたが、
プロの科学技術コンサルタントの先生に猛烈に反対されました。
反対の理由は

(1)アメリカに比べて日本の生産技術があまりにも見劣りすること。
(2)アメリカが自動車のマスプロをしているのに対して、
日本のメーカーは競争にならないほど手作業が多く、
少量の生産しかしていないこと。
そして(3)は日本に自動車の走れるような道がないこと。

当時の日本の現状を見れば確かにその通りですが、
私は自動車ショーに集まった若者たちの燃えるような眼ざしを見て、
「いや自動車の欲しい若者たちが
必らず自動車ブームを惹き起すだろう。
道がないなら、自動車の洪水が日本国中の道を拡げるさ」
と確信しました。
当時の若者たちのサラリーは1万円しかなかったのに、
トヨペットは1台で100万円もしていたのです。

私は人より早く収入があるようになったので、
大枚を切ってトヨペットの新車を買いましたが、
ちょうど週刊誌で株の話を書きはじめた時だったので、
「自動車が道を拡げるのなら、
道をつくる会社の株を買うべきじゃないか」
とトンネルや橋梁会社の株をすすめました。
多くの人がそうした考え方に賛成してくれたので、
そうした株が何倍にも値上がりして、
私のトヨペットを只にしてくれたばかりでなく、
車で通う新しいオフィスを建てるお金さえもたらしてくれました。

では中国ではどうでしょうか。
高速道路は既に縦横無尽に開通しているし、
8%の成長率を維持するために
鉄道から道路などの公共投資まで
大へんな勢いですすんでいます。
その工事を請負っているのは
大半が国営事業上がりの上場企業で、
株価も既にそれらの事業の業態を織り込んでいます。
ところが、それでも探がせば足りない物がまだあるんですね。
私はそれは石油や天然ガスを全国各地に運送するための
パイプ・ラインではないかと思っています。
中国の石油の消費量はアメリカの半分に迫っていますが、
パイプ・ラインはアメリカの10分の1にも達していないのですから。


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2010年5月22日(土)

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