中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3724回
自動車ブームの蔭で値引き競争

3年もたつと、株式市場もかなり様子が変わってきました。
私は雲南省に自分のワイナリーを建てる計画を
立てたことがありますので、
中国のワインの動向にはかなり敏感な方ですが、
まさか中国人が宴会の度にワインを常用するようになるとは
想像してもおりませんでしたし、
ましてやそれが株式市場の話題になるとは、
少くとも私の生きている間に起るとは予想もしていませんでした。

ワイン・ブームは中国で確実に起るだろうけれども、
そのスピードはそんなに早くはないだろうといまでも思っています。
でも確実に起ると投資家の人たちが納得すると、
株価がワイン・メーカーの業績より先行することは
大いにあり得ることです。
現に王朝酒業の業績の伸びは、
通天酒業よりかなりのろいけれども、
レミーマルタンが大株主に顔を並べているので、
品質の向上に問題はないと見る人が多いと見えて
株価の方は王朝酒業の方がずっと先行しています。
従って株価がどんなスピードで走るかは
今後の動きを見るよりほかありませんが、
多くの投資家が同じ見方をすれば、
食品業界の中の新しい動きの1つになることが考えられます。

それに比べて、今、中国で一番大きな動きは
何と言っても自動車産業の壮大なブームでしょう。
かつてトヨタやホンダが
アメリカの自動車産業界に割り込んだように、
年に2000万台もの生産をするようになった中国の自動車産業が
小型車を中心に世界市場で
華々しい動きをするようになるだろうことは
充分に考えられることです。
「ならば自動車だ」と早とちりする人も
決して少なくはないでしょう。

業界のスケールが一まわりも二まわりも大きくなることに
異存を唱える人はいないでしょう。
でも日本だってトヨタとホンダのかげにかくれて
影のうすくなった同業者は決して少くはないのです。
そういう会社の株をうっかりつかんでしまうことは
大いにあり得ることなのです。
ブームの蔭には必らず猛烈な値引き競争があります。
私なら自動車ブームときいただけで尻ごみしてしまいます。


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2010年5月21日(金)

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