中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3746回
日本に倣った中国人の物づくりの手堅さ

グローバル化の時代になって、
日本人と中国人が一緒になるチャンスがますますふえると考えて、
私は「中国人と日本人」という本を書いた時、
両者の違いを分かりやすく説明するために、
「中国人は商人、日本人は職人」とサインをしました。
ふだんからそういうことに関心のある人はすぐその場で
「そうだそうだ」と頷いてくれたものです。

人間は食べ物がないと生きて行けませんから、
人類の歴史はどこの国でも多分、
農業からスタートしていると思います。
ですから日本でも中国でも、農業からはじまって分業が起ると、
日本人は農産物の改良やら開発に先ず力を入れ、
中国人は人のつくった農産物を安く手に入れたり、
高く売ってお金儲けに熱中したに違いありません。
両方とも生きて行く上で必要なことであったけれど、
それがそれぞれの仲間たちの長所や欠点になったに違いありません。

人類の歴史の中では
それがそれぞれの国の人の長所や欠点になり、
国を栄えさせたり、貧困にしたりしました。
世界中を股にかけて交易にうつつを抜かした中国人が
全世界に君臨した時代もあったし、
農作物や資源に加工することによって一足先に金持ちになったのは
ごらんのように日本でした。
ですから日本が中国から多くのことを学んだ時代もあれば、
この半世紀のように中国が日本に学び、追いつき、
やがて追い越す勢いで猛進している時代も現実に起っています。

中国にとって好運だったことはその長所に甘んじ、
アメリカの後を追って、
「お金でお金を儲ける道」に走らずに、
日本に学び資源に加工して付加価値をつくる
「世界の工場」への道を選んだことではないでしょうか。
いまお金でお金を稼ぐ資本主義の主流は混乱のさなかにおかれ、
「世界の工場」を目指した中国は
もっと多くの価値をもっと安いコストでつくり出して
自国だけでなく、先進国から後進国に至るまで
全世界を大きく動かす道を走っているのです。
お札を印刷してやりくりをしているのとはわけが違います。


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2010年6月12日(土)

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