中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3755回
文法よりお客の習癖を見習うことから

現地で働くようになると、
言葉が通じないとそれこそトイレにも行けませんから、
生活に必要な日常語はすぐに覚えます。
子供が耳から覚える言葉に文法の必要はありませんが、
オトナになってから外国語を覚えようとすると、
その国の言葉の文法を理解する必要があります。

うちの永漢日語の教室で日本語を教える日本人は
日本語の文法などまるでわかりませんが、
中国人の先生は一通り文法を心得ています。
それと同じように日本人が中国語を覚えようとすると、
なぜそういう言い方をするのか、
先ずリクツで解しないと一歩も先へ進めません。
日本語と違って、中国語には男言葉、女言葉の区別がありません。
ついでに申せば、夫婦茶碗なんてものもありません。
うっかり夫婦茶碗をお土産にあげようものなら、
「なぜ女の茶碗は男のより小さいの?
女は男より少ししかごはんを食べていけないのですか?」
と逆ねじをくらわされます。
ですから中国で仕事をやるようになったら、
現場で鍛えられるのが一番で、
日本人の場合は必らず中国語教室にかよって
理屈で覚えるようになります。

恐らく先生から習う中国語より
職場で一緒になる部下やお客から教わる方が
ずっと覚えるスピードが早いし、実際の役にも立っています。
最初の頃は、うちの日本語学校で日本語を教えながら、
空いている時間に中国語の授業を受けるようにすすめましたが、
本人が1年たって上海や北京の事情が少しずつわかるようになると、
さっさと就職先を見つけて
よそに勤めるようになった人も少なくないので
いきなりレストランやコーヒー・ショップや小売店に配属して、
チンプンカンプンでも直接お客とやりとりするように
きり変えたのです。

そうしたら、言葉を覚えるだけでなく、
中国人の習癖や嗜好までたちまち理解して
うんと早く中国人の中に融け込めるようになったので、
やっぱりこれだと言うことになり、
いまでは遮二無二、現地からスタートするコースに
切り替えてしまったのです。


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2010年6月21日(月)

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