中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3756回
言葉より意志の疎通がもっと大切です

言葉が通ずるようになれば、
問題がすべて片づくわけではありません。
少くとも意志の疎通ができるパイプがつながりますから、
お互いに何を問題にしているかをわからせる可能性が出てきます。

日本人のサラリーが現場の中国人の50倍もあることは、
実際に日本でもらっている給与ですから、
日本人から見たら何の不思議もありませんが、
現場で働いている日本人と中国人を比べて見て、
はたしてそれだけの能力の差があるのかということになると、
次々と疑問符が生じてきます。
私の知っている日本の進出企業で、
日本人のスタッフを50人も抱えている会社がありますが、
その人たちの出向手当から住居費まであわせると、
そこで働いている2千人の中国人より多いということが
現実に起っています。

そうなると、会社がきちんと稼動するようになれば、
大した働きもないのに高給をむさぼっている日本人の数は減らして、
有能な中国人をもっと重用して
給料もふやすのが本筋じゃないかという議論も出てきます。
日本の企業の場合は、アメリカの企業のように
どこの国の人であろうと
有能な人材を重用する傾向は全くありませんから、
そろそろその矛盾が
表面化する時期が来ていると言ってよいでしょう。

そういうところへ、私がわざわざ日本の若者を連れて行って、
いままで中国になかった新しい事業を起そうとすると、
もちろん、中国になかった事業で、
日本人でないとうまくやれないと考えた上での発想ですが、
その場合でも待遇が違いすぎ、且つ意志の疎通がうまく行かないと、
たちまち同じトラブルにまき込まれることは
大いにあり得ることです。
私たちの場合は言葉の問題は何とか解決できていますが、
トップに日本人がいて、
働いている人はほとんどが中国人ということになると、
はたして両者をつなぐパイプがきちんと通っているかが
先ず大問題です。
パイプがちゃんと通っているためには
それだけの配慮も当然、必要だと思います。


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2010年6月22日(火)

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