中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3757回
進出企業の幹部は先ず腹心の部下を作れ

中国に進出している外国企業でやがて問題になることは、
外国人スタッフと中国人従業員の報酬のひらきと、
もう一つは外国人スタッフが
社内の重要ポストをほとんど独占していて、
現地やといの中国人に
そのチャンスをあたえないことではないかと思います。

ホンダで起ったことがその第1ページ目のシーンですが、
報酬の差は何も日本企業だけの問題ではありません。
ただアメリカやヨーロッパ企業の場合は
先ず派遣されてくる重役たちの肌の色が違うし、
白人優位の時代が長く続いて、
誰でもその違いを常識として受け入れているので
さして目立たないのです。
日本人の場合もずっとそれですんできたのですが、
日本人と白人の違いは、
白人はどこの国の人だろうと有能と認めれば、
社長や重役に拾いあげることに何の抵抗も見せないのに、
日本人は自分たちで経営陣を独占し、
現地人を仲間に加えないことは先ずないということです。

そのために日本企業に就職した中国人は
「仕事を覚えたらなるべく早く独立することです」
というのが常識で、
やがて独立してライバルになるか、
でなければライバル会社に移る人が多いのです。
ですから、これだけ海外進出が当り前になれば、
日本企業も抜本的に考え方を変える必要があります。
しかし、そこに到達するよりずっと前に
先ずトップに立つ人が現地人の中から
自分の腹心になるスタッフをつくれるかどうかが
大きな分かれ目になります。

現地人をスタッフに使えば、
必らず使える人とそうでない人に分かれ、
仕事をすすめて行く上で幹部を勤めることのできる人が
しぜんにできてきます。
そういうスタッフに取り立てた人が
本当に優秀な人であるかどうか、
また多くの手下とのパイプを正しくつなぐかどうかによって
会社の宿命がきまると言っても過言ではありません。
何千人も人を使うようになった大会社で突然、
ストが起ったりするのは、
そうした腹心が実は腹心ではなくて
作業場とのパイプが詰っていたからだと見て
先ず間違いありません。


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2010年6月23日(水)

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