中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3762回
成長する産業の蔭で斜陽化する無数の店が

いま日本の衣料品の縫製はその大半が中国で行われています。
素材がヨーロッパ製や日本製であっても、
わざわざ中国まで運んで縫製しています。
その場合は完全なメイド・イン・チャイナと区別するために、
その旨、表示がしてあります。

中国の賃金が日本の30分の1であった頃から縫製を中国でやれば、
日本のコストの3分の1ですんだので、
私はこの差をうまくキャッチした人がこの次、
日本で大金持ちになるだろうと予想したことがあります。
但し、日本人の趣味嗜好に合わない物を中国でつくっても
日本人は誰一人振り向いてもくれません。
ですから日本でデザインした物を中国で生地からつくって
裁断縫製して日本に運ぶ必要があります。

それを実行に移して辛抱強く販売を軌道に乗せたのが
皆さんご存じのユニクロの社長の柳井正さんです。
私はこの人のやってきたことを
早くから注意深く見守ってきましたので、
ご本人が日本一の富豪になることも予想できましたし、
そうなることも早くから納得しています。

問題はそういう大成功をおさめる人よりも
繊維産業の斜陽化によって
だんだん沈没して行く人たちの行方です。
商店街の衣料品店はお客がなくなって商売ができなくなれば、
店をしまえばそれで終わりですが、
樫山オンワードやレナウンやユナイテッド・アローズは
どうするのかと心配になります。
もちろん、皆それぞれに対策はとっているでしょうから
私たちがよけいな心配をする必要はありませんが、
私は繊維産業の斜陽化するところで四苦八苦するより
いっそ繊維産業はこれから成長する国に会社ごと引越しした方が
チャンスがあるように思います。

私がそう言っても、思い切ってそれのできる人は先ずいません。
仕事を持って動くより
仕事場にこだわる人の方が遥かに多いからです。
こうして工場のシャッターが次々と下り、
いままで全くシロウトだった人が
新しいシャッターをひらくことになるのです。


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2010年6月28日(月)

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