中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3800回
中国人が外貨の大盤振舞いをする番です

資産インフレを抑え込む方法は1つしかありません。
外貨準備高を減らす以外に方法はないのです。
国が貧乏で、外貨が不足する時は、
国としては外貨が欲しくてたまりませんから、
あらゆる方法を講じて外貨をふやそうとします。
為替レートを安くして輸出がしやすいようにするのもその1つだし、
輸入に色々と制限を設けて輸入がしにくいようにするのも
その1つです。
海外からの投資を奨励したり、
輸出をしたら税金の払い戻しをするのもその一端です。

しかし、そうした輸出奨励策が功を奏して輸出が恒常化して、
いまの中国のように外貨が次々とたまりはじめると
大へんなことになります。
中国はまだそうした経験がなく、
金持ちの苦悩に見舞われたことがないので、
輸入過剰で大赤字をくりかえしているアメリカから
人民元の値上げを要求されると、
目尻を釣り上げて不機嫌な表情になりますが、
何も対策をとらずにダーティ・フロートを続けると、
自分たちの方が大へんな目にあわされます。

現実に何が起ってきたか、これからどんなトラブルが起るか、
その徴候が見えてきたので、
政府も人民元を値上げする方向に動きはじめましたが、
それだけではとても間に合いません。
日本でもそうでしたが、
為替のきびしい制限を続けてきたのが突然、
外貨を使うことを奨励するようになり、
今まで制限していた海外旅行を奨励するようになりました。
私も体験したことですが、
パリのシャンゼリゼにあるリドの劇場に行くと、
突然、「サクラ、サクラ」や「上を向いて歩こう」が演奏されて、
観客の中に如何に日本人が多くなったか、
改めて思い知らされたことがあります。
それがやがて台湾の「梅花梅花」になり、
更にはまた「アリラン」に番がまわるのを
私自身が身を以て体験したことがあります。
最近、日本国中が突然、中国からの観光客で溢れるようになって、
北海道の温泉街や長崎の商店街まで
思いも寄らないお客でてんやわんやになっているのも
決して偶然ではありません。
そういう番がまわってきたのです。


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2010年8月5日(木)

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