中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3856回
1時間1万円の財務相談室をスタート

「邱永漢財務相談室」という三行広告が日本経済新聞に載ったのは、
自分で広告料を払いませんでしたので、
いつのことだったか、よく覚えていません。
私は週刊誌に「会社拝見」とか、
ラジオで「邱永漢マネー談義」とかの連載をしており、
「株の神様」「神様、佛様、邱永漢様」などと
冷やかし半分のアダナをつけられていましたので、
一応、名前は知られるようになっていました。
でもそれを自分の職業にして
一稼ぎしようと考えたことは一度もありませんでした。

ですから人の相談に乗れと言われても、
果してどんな人が来るのだろうかと首をかしげていました。
しかし、それを仕事としてやる以上、
どんなことをやるのかも決めなければならないし、
時間も料金も一応は決めなければなりません。
何しろ税理士の先生だって
税金のことについて相談を受けるのはすべてタダで、
帳簿をつける仕事を引き受けて
はじめて報酬をもらえる時代ですから、
お金や仕事の相談を受けるだけで果してお金をもらえるものか、
私自身にも自信がありませんでした。

でもそれを仕事としてやる以上、
規定をつくらないわけには行きません。
仕方がないので、相談料は1時間1万円と決め、
先ず相談する内容を予め文章にして送ってもらい、
時日を決めて私のオフィスへおいで願うことにしました。
はたしてそれでクライアントがあるのかと私は思いましたが、
それが結構あるんですね。

いずれもはじめて会う人だし、
相談もどこまで本当のことを喋ってよいのか
相手もおっかなびっくりです。
何しろ相談を受けてお金をもらう習慣のまだなかった時代ですから、
1時間の間に
ききたいだけのことはきかなければ損だという気持ちがあって、
山のように質問を並べた手紙をよこす人もあります。

そういう人たちを相手にはじめた財務相談室ですが、
やっているうちにこれは自分にとっても大へんな勉強の場だと
痛感するようになったのです。
なぜなら実際に仕事をやっている人の本当の悩みを
さまざまの業種からきかせてもらう
またとないチャンスだったからです。


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2010年9月30日(木)

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