中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3859回
修身の教科書に書いてある通りではありません

お金のこととなると、
そう簡単に誰にでも相談できることではありません。
うっかり本当のことを言うと、
どんな目にあわされるかわからないからです。

それを初対面の私に相談するのですから、
誰だって警戒心を持っています。
相談すると言っても、
どんな仕事をやったら
お金が儲かりますかと言った話ではありません。
ほとんどの人が今、自分はこういう仕事をやっていて、
これだけのお金を持っているが、
それをどう活用したらいいかという、
それも実際にこうやりたいが、
先生はどう思うかという具体的な話です。

お金の運用のことですから、
誰にでも本当のことを打ち明けられないのですが、
ほとんどの人が身内にも打ち明けられないようなお金とか、
税務署に知られたら困るような隠し金を持っています。
それを私に打ち明けるのですから、
初対面の時にスラスラと打ち明ける人は先ずありません。
2回、3回と顔を会わせて、
私の人柄を値踏みして、
この人なら大丈夫と思ってからはじめて本題に入るのです。

もし私が普通の公認会計士や税理士や弁護士をやっていたら、
とても人々の心の本当の奥底にまでふれることは
先ずなかったでしょう。
でもこの人なら大丈夫だと思ったら、
人は本当のことを喋るものです。
そうなると、修身の教科書で教えるようなことが、
人の心を本当に動かす基準になっていないことが
わかってしまいます。
とりわけ税法というシステムができてから、
人は本当のことを言わなくなってしまいました。

銀行にお金を借りに行く時に着て行く服と
税務署に行く時に着て行く服も違うなら、
喋る内容から喋り方まで同じではないのです。
小学校では正直に生きることを教えますが、
実社会では如何にしたらお金を搾り取られないかを
身につけなければ生きて行けないか、
を勉強しなければならないのです。
この違いを嫌でも認めざるを得ないのが金儲けの先生なのです。


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2010年10月3日(日)

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