中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3879回
外国に行って日本料理屋をやるな

中国に行って新しい仕事場を探がすか、
あるいは新しいビジネスをはじめるにしても、
自分の生まれ故郷で働くわけではありませんから、
私の言う
「自分の生まれ故郷で事業をやるな」という戒律には合致します。
だから「必らず出世するぞ」というわけではありませんが、
少くともその条件の一つは充たしていることになります。

ではどんな仕事を選ぶかということになると、
先ず人にやとわれて働くことになれば、
自分の自由にはなりません。
大抵の人は、日本の会社で就職して、
会社の都合で海外勤務を命ぜられて
現地に派遣されることになります。
当然、会社の仕事からスタートすることになりますが、
会社にお金をもらって現地で勉強をするのですから、
文句ばかり言っているわけには行きません。
早く言葉を覚え、早く環境に馴染み、
中国人と日本人のどこが違うか、
どうすれば現地の人から信用されるようになるか、
1日も早く身につける必要があります。
そこから出発して日本企業を退職し、
現地で独立して自分なりに事業をはじめた人たちを
私はたくさん見ています。

でも一流企業から現地に派遣されて退職した人よりは
とにかく現地に行くことだと考えて、
現地の大学で中国語を覚えたり、
現地にいる知人をを頼って
どこかの企業で働かせてもらっている人の方がずっと多いでしょう。
そういう人が先ずありつく仕事場は
日本人が現地で細々とスタートした日本料理屋とか、
小売店とか、美容室とか言ったことになります。

そこから出発するのはやむを得ないのですが、
そこから脱け出して現地で大きくなるような仕事を見つけて
新しいスタートを切らない限り、
異国で立身出世することは先ずありません。
日本料理屋は日本人にとって一番とっつきやすい仕事ですが、
現地にいる日本人と旅行に来た日本人を相手の商売ですから、
わざわざ外国まで行って
一旗あげたい日本人のやる仕事ではないのです。
そこにこだわっている限り、
外国で成功することは先ずできないのでしょうね。


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2010年10月23日(土)

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