中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3887回
とうとう軒を並べる冴えない小売店の仲間入り

雲南省の山の中でコーヒー豆の栽培をはじめてから
早くも満7年がすぎてしまいました。
この事業はいまだに赤字を脱していません。
そう言えば、まわりでコーヒー豆の栽培をしている人で
倉が立った話は一つもきいていません。
豆をつくる商売は手間がかかる割りには利益もうすく、
事業としてやっても成長する事業ではないのです。

でも、中米に派遣されていた有機農業の専門家にも来てもらって
あれこれ改良をすすめた結果、
何と今年はヨーロッパで銀賞をもらうことができました。
中国産のコーヒー豆にとっては有史以来の成果で、
従業員一同大いに元気づけられているところです。

コーヒーは世界を代表する飲み物の一つですから、
ビジネスとしても小さなものではありませんが、
この事業で一番付加価値のあるのは、
コーヒー豆を生産する業者でもなければ、
コーヒーハウスを経営している業者でもなくて、
実は焙煎をしてコーヒー豆を卸す焙煎業者です。
日本でも何社かのスケールの大きな業者が株の上場をしていますが、
あとはコーヒーハウスのチェーンをつくることに成功した
チェーン店でしょう。

私は全くのシロウトで、そういうことに無頓着だったので、
自分たちがつくったコーヒー豆を有名焙煎業者に持ち込めば、
コーヒー豆の貴重品として買ってもらえるものだと
単純に考えていました。
ところが、実際に交渉して見ると、
焙煎業者は原料を安く叩いて買うことに生命賭けて、
あとは安く仕入れた原料を如何にうまく混合して
高級品として売り込めるかに全力を傾ける商売だったのです。

私たちのつくるコーヒーはどんなに品質のいいものだろうと、
ごく少数のマニアにしか相手になってもらえません。
こうなったら、自分で焙煎をしてコーヒーハウスまでつくって
直接、お客に飲んでもらうよりほかありません。
その積りでなかったのがとうとう商店街で軒を並べてお客を呼ぶ、
私が一番冴えないビジネスと見ていた商売の
仲間入りをすることになってしまったのです。


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2010年10月31日(日)

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