中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3904回
このままだと東京までシャッター通り

デパートに行くとすぐ気のつくことですが、
しばらくぶりにデパートに行くと、
同じ売り場でもショー・ケースが配置換えになったり、
売っている商品さえ入れ替わっています。
お客を飽きさせないために気を使って工夫しているのです。

ところが、昨今は物が売れないせいもありますが、
デパートに行っても、スーパーに行っても、
売り場も1年前とほとんど変わらないし、
並んでいる商品もさして変わりありません。
変わったことと言えば、バーゲンの期日が早くなったことと
バーゲンの期限が長くなったことと
バーゲンになってもお客の数が
売り子の数より少いことくらいのことです。
これを見てもいまの日本では
不景気が長期化していることがわかります。
それに対して政府が全く何の手も打てないでいます。

ですから今、日本の産業界で必要なことは
どうやったら物が売れるようになるかということであって、
子供に手当を出したり、法人税を負けてやることではありません。
物が売れるようにするためには、
物を買うために使えるお金をふやす必要がありますが、
そのためには定期預金の金利を上げて
貯金をしている人の収入をふやしてやることと、
会社の交際費をもっと制限をゆるやかにして
お金が使えるようにしてやることです。

しかし、実際に政府がやっていることはちょうどその反対で、
しかも円高対策一つにしても
一向に霊験があらわれないところを見ると、
実はやっていることがちんぷんかんぷんだということがわかります。
こんなことが続いたら、
そのうちにデパートもスーパーも大赤字になって、
早くから国内に見切りをつけて
海外に商売の根拠地を移した企業だけが
生き残ることになりかねません。

私は20年ほど前に
今に日本の企業が3分の1ほど海外に大移動する日が来るぞと
予想したことがありますが、
この調子では3分の1ですまないかも知れません。
これ以上、円高が進んだら更に不景気は深刻になるでしょうが。


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2010年11月17日(水)

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