中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3903回
アキナイとはお客を飽きさせない事です

商売のことを日本語でアキナイと言いますが、
アキナイとはすぐ見切りをつけては駄目で、
辛抱強く続けなければならないぞという意味に受け取っています。
やる方は商売がうまく行かなくとも、
途中で断念せずに続けることが大切ですが、
こちらが断念せずに頑張り通しても、
お客の方がすぐに飽きてしまうのがビジネスなんです。

ですからビジネスで一番大切なことはお客に飽きられないことです。
そのくらいのことは商売をやる人なら誰でも知っていることですが、
問題はどうすればお客に飽きられないですむかということです。
店がオープンすると、最初は珍しがってお客が入って来ます。
1回目に入って来たお客が物を食べたり買ったりして、
お金を払った時に、
「うん、これなら次は家族でも連れて来ようか」とか、
仕事の上の友達でなくて、ごく親しい友人の顔を思い浮べながら、
「あいつとあいつを連れて来ようか」と考えてくれるようなら、
一先ず成功と言ってよいでしょう。

反対に、勘定が高かったり、サービスが悪かったり、
食べ物が気に食わなかったりして、
「駄目だな」とブツブツ言いながら立ち上がったら、
別のお客が次々と現われても、店は満員になりません。
ですからお店をひらいて3ヵ月たっても店が一杯にならなかったら、
あれこれ工夫しても店を繁盛させることは
難しいと思ったら間違いありません。

そういう人は人の真似をやる人とか、
もともと創意工夫に神経の行き届かない人ですから、
いくら頑張っても店がお客で一杯になることはありません。
ではお客が溢れるようになったら大成功かというと
油断はなりません。
お店のお客はお店をやっている人よりずっと飽きっぽくて、
何回来ても料理も同じなら、サービスも同じだと、
だんだん飽きが来て、
足が遠のいて姿を見せなくなってしまうものなのです。
「初心に帰れ」とはこういう時に守るべき心構えのことで、
店をやる人は店をやっている限り
お客を飽きさせない工夫をくりかえしやらなければならないのです。


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2010年11月16日(火)

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