中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3906回
中国でも繊維は斜陽産業になりました

いま私は静岡で抹茶の製造をしている人のために、
中国で抹茶を造る工場の敷地探がしをしています。
抹茶はアイスクリームに入れるのが世界的ブームになり、
アメリカにもヨーロッパにも売れるようになりましたので、
日本国内でつくるより中国でつくった方が
コストが安くてすむことがわかったからです。
そのために中国の茶所を片っぱしから見て歩くようになり、
普洱茶の雲南省からはじまって、
緑茶の杭州や寧波から、
さては白茶の宣興まであちこち歩きまわっています。
新しく工場を建てるより空いた工場があれば、
その方が安上がりなので、
工業団地の中を見て回っていますが、
いま中国で店じまいを一番たくさんやっている業種は繊維産業、
つまり紡績から不料品加工の工場です。

もはや中国では繊維関係も斜陽産業の仲間入りをしているのです。
もう何年も前から人手不足による賃上げを見越して、
ユニクロの柳井さんから
「うちはバングラディッシュに大移動をしているところですよ」
と言われたことがありますが、
賃上げと人民元の切り上げの挟み討ちで、
繊維加工業は中国の主流産業の座を下りはじめているのです。
ですから中国で株式投資をしている人たちは
どんなにチャンスがありそうに見えても、
繊維加工は避けて通った方が安全だということになります。

それでも中国人が豊かになったら、
ファッション産業がブームになります。
ファッションは付加価値の高い業種ですから、
必らずボロい儲けをする銘柄が現われます。
それを狙う人があって別に不思議ではありませんが、
そうした企業は百社に一社もあるかどうか。
ましてそれが上場会社の中に出現するとすれば、
競馬の一等賞を狙うような確率になります。
ですから空いた工場を見て歩くうちに、
繊維で一儲けしようなどという勇気は喪失してしまいました。
斜陽産業でバクチをやるのは他の人に任せて、
これから成長する産業に賭けることにしようと考える日々が続いています。


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2010年11月19日(金)

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