中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3907回
銀行株に魅力を感じなくなったわけ

ではお金のたくさん儲かる商売は何かと言うことになりますと、
誰でもすぐ頭に浮べるのは銀行です。
いまの中国のように輸出によって黒字が大量に発生すると、
外貨がドンドン溜まり、
それが人民元に替わって銀行に集まりますから、
かつての日本がそうであったように銀行にお金が溢れます。

そのお金をドンドン貸さないと、
銀行は預金の利息に食われることになりますから、
必死になって融資先を考えます。
企業にも、もちろん、お金を借りて下さいと持ちかけますが、
それでは間に合いませんから、
不動産を買う人と自動車を買う人に気前よくお金を貸します。
おかげで、不動産も自動車もとぶように売れて
空前の好況が続いていますが、その反動が恐しいので、
政府の予貸率のコントロールが続いて、
その度に貸出しにストップがかかります。

見ていると、銀行はお金を載せた自動車で
それを運転しているのは監督官庁です。
運転手が「止まれ」とブレーキをかけたら、
満タンにガソリンを積んでいても自動車は走れなくなります。
どんなにお金が溢れるようになっても、
そのお金を
お金儲けのために運用することができないのが銀行なのです。

いま北京や上海を歩いても、
レストランに負けないくらい軒を並べているのは銀行です。
その銀行が民間から集められるだけのお金を集めて
資本金を大きくしています。
そんなたくさんの株主に配当金を払えるだけの
利益をあげることのできる仕事がはたしてあるのでしょうか。
仮りに金儲けのタネが尽きないとしても
銀行がピンはねのできる分がはたしてどれだけあるのでしょうか。

何しろ天文学的数字の莫大な資本金ですから、
株価を1元押し上げるだけでも、どれだけのエネルギーが必要か、
考えただけでも気が遠くなってしまいます。
ですから経済成長の初期に
銀行株に興味を持ったことがありましたが、
これだけ資本金がふえると百年の恋も醒めてしまいます。
いまの私は繁華街に連綿と続く銀行の看板を前にして、
今の若い男性と一脈も二脈も通ずる草食人間になってしまいました。


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2010年11月20日(土)

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