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第3935回
ペーパーマネーも為替制度ももはや時代遅れ?

ギリシャに続いてアイルランドが財政危機におち入り、
ヨーロッパ連合が救援の手をさしのべています。
まだ噂の段階ですが、ポルトガルやスペインも
そのすぐお隣りに並んでいると言われています。
煙りが立たなければ、噂になるわけもありませんから、
ヨーロッパの各国に次々と
似たような現象が起ってくると言ってよいでしょう。

しかし、これは何も
ヨーロッパ連合にだけ起っていることではありません。
ペーパー・マネーを印刷して通用させている世界中のすべての国で、
国がお金をたくさん刷りすぎて、お金が返せなくなったり、
外国との決済ができなくなったりすることは、
今後も次々と起ることが予想されます。
そのトップを走っているのがアメリカで、
アメリカの通貨が世界の通貨として通用しているのを奇貨として、
ドルが濫発されていることは世界中で知らない者はおりません。

それでもドルが目減りすると困るのはアメリカだけでなく、
ドルを保有している国はすべて同じ目にあわされますから、
世界中の人が支えることになって何とか持ちこたえています。
しかし、それがご本体でなくて
もっと虚弱な体質の国で発病が続くと、
ペーパー・マネーに何らかの歯止めをしなければ、
経済がうまくまわって行かないことが起ります。

しかし、紙に印刷したお金では用を足さなくなる以前に、
為替制度がうまく機能しないことが
一足先に起るのではないでしょうか。
ペーパー・マネーであっても、
うまく機能している国とそうでない国との取引が
スムーズに行かないだけでなく、
外貨をうんと稼いだ国が外貨を担保にして
自国でペーパー・マネーを印刷発行するシステムが
このまま続いたら、
日本に続いて中国でバブルがはじけて、
日本に負けないようなひどい目にあわされることは
避けられなくなります。
いまの為替制度そのものがもはや時代に合わなくなったと感ずるのは
私ひとりだけでしょうか。


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2010年12月18日(土)

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