中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3946回
先ず人の話をよくきいて下さい

これから海外で仕事をするチャンスがうんとふえます。
勤めている会社に派遣されて海外勤務になるのなら、
言葉を覚えるのが第一ですが、
自分で店を持って人を使うとなったら、
そう簡単なことではやれません。

もちろん、言葉を覚えるのは大切ですが、
似たような顔をしていても、
すぐ目の前の人の頭の構造は違うんです。
多くの失敗はそれを同じだと錯覚することからはじまっています。
ですから外国に行って仕事をはじめる人は
先ず自分とすぐそばにいる人は
生まれも違えば、物の見方も物の考え方も違うんだというところから
出発する必要があります。

たとえば、上海や北京に行って店をはじめる為に場所を借ります。
不動産屋や場合によっては弁護士が立ちあって
契約書をつくります。
それでも実際に貸し借りがはじまると思わぬトラブルが起ります。
契約書に書いてないことがいくらでもありますので、
借手に不利なことがあって
家主に持ち込むと大抵は相手にもなってくれません。
商売がうまく行ったら
途中からでも賃上げを要求してくる大家もあるし、
商売がうまく行けなくても、
契約を更新する時は賃貸料の大幅値上げを吹っかけてきます。
要するにあらゆるチャンスを自分に有利に展開しようとするのが
取引先だと思えば間違いないのです。

ですから知らない町に行って商売をはじめたら
隣近所が手伝ってくれると思わないことです。
日本の一流デパートやスーパーでさえも
そういう目にあわされています。
みんな防弾チョッキをつけて生きている人たちと
つきあっていると思えば先ず間違いありません。
そういう中にとびこんで
無事でおられるために一番大切なことは
似たようなことを先にやって成功した人を頼って
よく話をきくことです。
先覚者の話をきくときかないではとても大きな違いが出てくるのが
海外進出だと思って下さい。

なお本日でこの連載は1冊分の分量に達しました。
明日からは趣きを変えて再出発しますので、
どうぞ続けてごらんになって下さい。


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2010年12月29日(水)

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