中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3947回
白い鴎が寒い冬を教えてくれました

いよいよ年の暮れも押し迫って、
いま家内と私は寒い寒い北京に来ています。
これから迎える冬はきっと今までにない寒い冬になるのではないかと
秋口から予感していました。
というのも、先月雲南省の昆明に下り立って、
私が常宿にしている翠湖賓館に車を乗りつけたら、
ホテルの前の翠湖に例年にないほど
シベリアからたくさんの鴎が飛んで来ていて、
湖の水が見えないくらい白い翼に埋まっていたからです。

人間にも第六感の発達した人がいて
まだ起っていないことを察知する
特別の能力を持った人がたまにいますが、
人間よりも鳥の方がずっと敏感で、
新しく迎える北国の冬は
きっと鴎たちにとってもジッとしておられないくらい
寒くなるのではないでしょうか。

先月、東京を発つ時、家内が用心のために
毛皮の襟のついたオーバー・コートを私に渡しましたが、
東京はまだオーバーを着用する季節でなかったので、
私はその場で毛皮の襟をはずしてコートだけ抱えて家を出ました。
ところが、北京だけでなく、昆明も成都も上海までも
毛皮のコートを着てもおかしくないくらい寒かったので、
第六感の働かない人間は動物にきくに限ると思いました。

しかし、最近は携帯電話が普及して、
地球上どこの大都会の温度も立ちどころにわかるようになったので、
誰でも異郷の寒さや暑さに対処できるようになりました。
大へん便利な世の中になったわけですが、
こうなると人間の第六感は
ますます退化することが避けられなくなります。
雨になるかどうかさえ情報に頼るようになると、
明日の自分の持株の相場さえもチンプンカンプンになって、
いよいよ第六感がきかなくなってしまいます。

若い人はそれでもよいのでしょうが、
私は昔の人が故老にきいたように、
自分に見えない物は白い鴎にでもききたくなります。
冬が寒ければ、卵も油も高くなるし、
電力も石油もきっと高くなるでしょう。
不景気な日本でも物価はきっと高くなりますよ。


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2010年12月30日(木)

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