中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3986回
新天地もいよいよテナント探がしの時代に

改革開放政策が打ち出されて
中国では早くも20年の歳月が過ぎようとしています。
この20年に中国は大へんな経済成長をしましたが、
時代の先端を走ったのは何と言っても上海です。
その上海で最尖端に位置して誰の目にもはっきり映ったのは
新名所「新天地」と言ってよいでしょう。

私はたまたま上海市長に頼まれて
浦東にビルを建てる破目になったので、
開放政策のスタートから上海と縁があり、
「新天地」に自分の家も購入しました。
ですから「新天地」をスタートに上海がどういう発展をしてきたか、
ずっと観察しています。

「新天地」にどんな店が入り、どこのコーヒーショップがハヤり、
どこの衣料品店でどんなものを売っていたか、
更にどの店が店じまいをして
何の店に代わったかも大体記憶にあります。
「新天地」は上海でも恐らく一番家賃の高いところですから、
店を維持して行くのだって容易なことではなく、
次々と店子が代わっています。

それが最近は目立って入れ替わりが激しくなったばかりでなく、
今度の正月にはじめてわかったことですが、
2つ目の「新天地」の後ろに新しく3つ目ができて、
何とそれが私を思い迷わせている
超豪華なアメリカ式ショッピング・センターだったのです。

私は自分の秘書と上海のスタッフにつき添われて
中に入って見ましたが、
中を歩くお客の方が店番の人たちよりずっと少く、
どうして「新天地」の経営者たちが香港出身にも拘らず
中国の不動産成金と同じことをやるのだろうかと
理解に苦しみました。
この人たちも不動産成金の仲間だと言ってしまえば
それでおしまいですが、
既にテナントの激しい入れ替わりで
「新天地」がその先頭を切っているのに、
その「新天地」が
中国人の財布と辻褄の合わないことをはじめるのですから、
中国人が商売上手という定説は
いよいよ妄想に近づいてきたと言うよりほかありません。
流通業界は工業の発展についで
次の新しい展開を要求されているぞと痛感しているのは
私一人だけでしょうか。


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2011年2月7日(月)

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