中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4004回
「味オンチの食べ歩き」と「低能人のクイズ」

テレビがスタートした頃、口の悪い大宅壮一さんが
「テレビは1億白痴化運動の舞台になる」と喝破していますので、
今更私がここで解説する必要はありませんが、
テレビの画面を見ていると、現象だけが次から次へと続いて、
見ている人に
頭を使って考えるいとまをあたえないことと関係があります。

人間は何かの体験をするとか、
今までに経験したことのない事象にぶっつかると、
それはどんな意味を持っているのか、どう評価をすべきか、
あるいは善悪の判断をする時間を必要とします。
ところが、テレビは判断をする余裕もあたえずに
現象だけを次から次へと押しつけてきます。
頭脳を働かせる余裕を視聴者にあたえないのです。
頭を使わない人にとってはそれでいいかも知れませんが、
頭を使いたい人にまで頭を使う余裕をあたえないことは
人々の思考能力を低下させることになってしまいます。

そういう番組を朝から晩まで続けていると、
面白がるだけで、考える能力を人々から奪ってしまいます。
スポンサーからお金をもらうために
そうした作業を何十年も続けた結果は
時間だけあって何も考えない人だけを相手にすることになり、
テレビをすっかり堕落させてしまいました。

私はテレビにはあきあきしてほとんど見ない方ですが、
たまにスイッチを押すと、
「味オンチの食べ歩き」と「低能人のクイズ」番組の連続です。
どう見ても美味の筈もない食べ物でもうまいと言わされる味オンチと
何でこんなバカなことをきくのかという
知識も恥もない低能ぞろいで埋め尽された画面を
テレビ局はどうやってこれからも続けて行けるのでしょうか。
不足する分はイケメンと美尻で間に合わせるのでしょうが、
毎日、画面で見ていると昔からの知り合いのような気になって、
選挙に出ると当選するのですね。
こういう仕組みになってしまって、
これで日本の国は成り立って行くのでしょうか。
それとも、そもそもそんな見方をするのは、
自分が年をとった証拠でしょうか。


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2011年2月25日(金)

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