中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4025回
中国人がロシア人をこきつかう時がアジアの時代

中国の工業化がはじまると同時に、
中国で生産される安価な日用雑貨を
隣国に売りに行く商売がはじまりました。
お金になるとわかれば、国境があろうと、税関が立ちはだかろうと、
それを物ともせずビジネスで新しいルートがひらかれます。

南はベトナム、ラオス、タイからはじまって、
ミャンマーだろうと、ネパールだろうと
国境を接した国々には中国人の担ぎ屋が大活躍をはじめます。
当然のことながら、最も国境を一番長く接しているシベリアが
見落されるわけもありません。
何しろロシアは日本からの輸入品でさえ
一ぺんモスクワに運んで
税金をかけてからシベリアまで運んでくるのですから、
中国領から国境をまたいで運び込む方が
ずっと安上がりで便利なことは目に見えています。

おかげで中国人の担ぎ屋がたちまち大活躍をはじめました。
日本の中古車はさすがに運び込めませんが、
お茶でもスリッパでも中国製の方がずっと良質で値段も安いのです。
一旦、そうとわかったら担ぎ屋貿易は大繁盛で、
国境の番兵も税関も財布がふくらみます。
それを見た政府の上層部が中国人の活躍を封ずるために、
中国人のビザの発行を停止しました。

さあ、それでこの商売はアウトかと思ったら、
中国人はロシア人より頭の回転が早いので、
自分たちは手分けして中国領とシベリアにいて
担ぎ屋にロシア人を使うように切り換えました。
ロシア人よりは中国人の方が頭の回転はうんと早いのです。

それを見て私は考えました。
日本人はロシア人にはまるで歯が立たず、
日ロ関係はお手揚げだけれど、
中国人はロシア人をあごで使えるのです。
もし今後、こうした動きが中ロの間で展開したら、
その時こそアジアの時代が来るのではなかろうかと。
もちろん、ロシアの要人たちは依然として手ごわい相手だけど、
一般のロシア人はそうしたトップの言いなりになる人たちですから、
全く可能性のないことだとは言えないのです。


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2011年3月18日(金)

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