中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4041回
「災害に売りなし」と言うけれど

いまは被害を受けた人たちが
まだ仮住居も建てられない段階にありますので、
復興の話をするのは早すぎますが、
ウォーレン・バフェットさんも「日本株の買い時だ」
と災害のニュースが流れた瞬間に発言しています。
私は昭和20年3月9日の東京大空襲の時も東京にいましたし、
敗戦後の廃墟の中から日本が復興して
世界で1、2を争う経済大国になって行く過程も
ずっと見てきたので、
北京にいて大震災のニュースに接した瞬間に、
罹災した人たちは大へんだけど、
「災害に売りなし」という兜町の諺をすぐに思い浮べました。

はたして次の日は東京でも株の大暴落に見舞われましたが、
大暴落するなかで建設株は逆に値上がりしましたし、
再建に必要な建築材料のメーカーも物色の対象になりました。
破壊があれば建設がはじまるのは、
1929年の世界的大恐慌におちいった後の景気対策が
なかなかうまく行かなかったのに、
第二次世界大戦がはじまった途端に、
アメリカの景気が一ぺんに立ち直ったのを見てもわかります。
ルーズベルト大統領がニュー・ディール政策とか、
あれこれ工夫をこらしても一向に効果がなかったのに、
戦争という大消耗作戦がはじまると、
途端に生産設備が猛烈なスピードで動きはじめたのです。

ですから世界的金融不安で、生産も停滞し、
失業に見舞われていた日本で、
災害から復興する作業がいよいよこれからはじまることになります。
日本の受けた損失は25兆円にも及び、
元に戻るのに少くとも5年はかかると発表されていますが、
さしあたり罹災地帯の再建からはじまって
生産設備が修復するまで仕事はいくらでもありますから、
日本経済は俄かに活気を呈することになります。

そう言った意味ではどんな業種に陽が当るかが
投資家たちの注目の的になりますが、
昔と違って世界を市場とする時代になったのすから
企業にとっては工場や輸送や関税を考慮に入れた
新しい形の再配置をする段階に入ったと見て
いいのではないでしょうか。


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2011年4月3日(日)

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