中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4047
いまは次の時代の夜明け前と思えば

平和な時代が半世紀以上も続き、日本の人口も大きく入れ換わって、
戦争を知らない世代が大半を占める世の中になってしまいました。
お金さえあれば欲しい物は何でも手に入るのが当り前なのに、
そうした条件が充たされないようになると、
「大へんだ」ととびあがって驚く人が少くはありません。

でも日本軍が進出したために、生命カラガラ逃げまわった中国人や、
アメリカ軍の空襲で一晩に東京の人たちが
10万人も生命を失った光景を見て来た私から見ると、
原子力発電が故障を起したくらいのことで
真っ青になっている人たちが滑稽にすら見えます。
1週間以上も倒壊した家の下敷になっていた
お婆さんと孫が無事助け出されて
「本当によかったね」と人も喜んでくれ、
ご本人もそう思っているのでしょうが、
死んだ人はもう何も心配することがないのに比べると、
生き残った人の方がもっとずっと大へんなのです。

被害を受けた人々でも恐らく大半がもと住んでいたところに戻って、
「昔とった杵柄」をもう一度とりなおすことになるのでしょうが、
戦後60何年たって、
無一文からのしあがって世界のトップに挑戦した日本も、
バブルが崩壊したあと、やっと立ち直るところまで戻りましたが、
仮りに大地震が起らなくとも、沈滞の激しいレベルまで落ち込んで、
もう一度、「これじゃ先が思いやられる」という位置に
きてしまったのではないでしょうか。

昨今の日本は世界中の他の国々に比べれば、
まだまだ上位にランクしていますが、
産業的にはかなり頭打ちになっているし、政治的にも行き詰って、
このままでは下降線を辿る方向に向っています。
ちょうど徳川幕府が終わって明治がはじまろうとしていた時代と、
もう一つ、戦争に敗れて9千万の人口が
資本も資源もない4つの島に追い戻されて
これからどうやって生きて行くのか、思い迷った時代と
似たような十字路に立たされていると思いませんか。
徳川の終わる時代だって、敗戦後の日本だって
不屈の精神で新しい道をひらいた人は
一握りにすぎなかったのですから、
次の時代を予想して動く若者が少いのは
別に不思議なことでも何でもありませんが。


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2011年4月9日(土)

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