中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4052回
地球は地球の物、それとも人の物?

日本の産業界もいよいよ天井を打って、
これからどうしたらいいか、
皆で一大長考するところまで来てしまいました。
そこへ大地震と大津波が来て、
原子力発電所の故障というおマケまでついてきたのですから、
「天罰」というよりは
「天命」と考えた方がいいのではないでしょうか。

明治維新になる前は、国と言えば、
薩摩だとか土佐とか加賀といった藩主のいる所でしたから
狭い日本列島の中に何と270いくつもの国がありました。
私の子供の頃は毎月、小学生として先生に引率されて
参拝に行った生まれ故郷の台南市にある台南神社の参道の両側には
献上された石の燈篭があって熊本県人会とか、
福岡県人会とか刻み込まれていました。
明治になると廃藩置県のおかげで、
藩が県に置き換わったのですが、
その前はそれぞれの藩には藩主という殿様が居て、
藩のことをそこに住んでいる人は国と呼んでいたのです。

ですから、つい最近でも「お国はどちらですか」
ときくのは珍しいきき方ではありません。
でも昨今はニューヨークに行っても、
バンコクに行っても、日本人会はあっても、
福島県人会や高知県人会はありません。
明治維新で国は270いくらが1つになってしまったのです。
その1つになった日本の国の国境がこれまた垣根をこわされて、
どこが国境で、
どこからがどこの国かという区別がなくなろうとしています。

その先端を行っているのがユーロで、
ほんの少し前まではデンマークから
すぐお隣りのスウェーデンに行くのだって、
いちいちパスポートにスタンプを押してもらう必要がありました。
それが昨今は私たちがユーロのどこかにはじめて入る時だけ
その必要がありますが、
1ぺん中に入ってしまうと、
その手間も省けてしまうようになりました。

そういう時代になっても、
まだ「ここはうちの領土だぞ。近寄るな」
と色をなして争う人が後を絶えないのです。
私は海も山も島も河も地球の物であって、
そこに生まれたり、住まわせてもらっている人の物ではない
と思っていますが、
皆さんはどうお考えでしょうか。


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2011年4月14日(木)

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