中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4076回
中国でバブルのはじける可能性も

日本でバブルがはじけるまでの過程を長々と述べてきたのは、
高度成長の過程で中国にも同じことが起る可能性があるからです。
日本でバブルになり、またバブルがはじけたのも、
輸出によって外貨が貯まって行く過程で
国内の通貨に過剰流動性が発生し、
それが大きく含んでパンクしたからですが、
それとまさに同じことが中国でも進行していると、
多くの識者が認識しているのです。

中国の人民銀行のトップをはじめ、
経済知識を多少でも持っている人たちは
似たり寄ったりの見方をしており、
とりわけ中国金融界のトップの人たちはそれを避けるために、
金利の値上げと預金準備率の引き上げをくりかえすことによって
インフレを抑えにかかっています。
しかし、外貨準備高が3兆ドルに届くところまで来ていることは、
それに見合うだけの人民元が
発行されていることにほかなりませんから、
それがインフレを招き、不動産の値上がりと、
食糧を中心とした生活物資の値上がりを惹き起していることは
皆さん、ごらんになっている通りです。

政府筋では今年に入ってからも
金利の引き上げをくりかえしていますが、
外貨がふえることにストップがかかり、
逆に外貨を減らすことによって
人民元の過剰流動性が抑えられない限り、
バブルのはじける可能性が低減する可能性はありません。
人民銀行の当事者たちにもそれがわからない筈がありませんので、
あるいは方針を変えて
人民元の切り上げにスピードをかけることもないとは言えません。

既に年8%の成長率を今年は7%に引き下げましたし、
政府筋の事業会社に声がかかって人民元を回収して外貨に換え、
資源や外国企業の買収に資金を投ずるようになれば、
パンクの可能性が遠のくことも考えられないではありません。
しかし、外貨は政府のものだと考えて、
人民元の回収を怠ったら、
中国が日本のあとを追うことは先ず避けられなくなります。
私もそのことを心配して昨年の中頃から
そのことに皆さんの注意を促すようになりました。


←前回記事へ

2011年5月8日(日)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ