中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4089回
日本料理ブームは予想した通りでしたが

一頃、海外旅行に出かけると、日本人の旅行者のあるところには
1軒や2軒必らず日本料理屋がありました。
日本人は旅行先で3日もその土地の馴れない料理が続くと、
味噌汁にご飯に漬物が恋しくなって、
どこかそういう物を食べさせる所に駈け込みたくなります。

ですからその土地で働いている日本人と
旅行に来た日本人を当て込んで
すぐ日本料理屋ができてしまいますが、
そういう日本人はそんなに多くなかったので、
どこも大して商売にならず、
身すぎ世すぎがやっとという期間が長く続きました。

でもメイド・イン・ジャパンが世界中の人から受け入れられ、
日本ブームが沛然として起ると
日本料理に興味を持つ人もふえますから、
そのうちに世界中に日本料理ブームが起りますよと
予言したことがあります。
フランス料理と中華料理は比較的早くから
他所の国の人からも受け入れられていましたが、
素材の味を生かすという面で
日本料理には他に秀でたところがあるので、
世界中の人がメイド・イン・ジャパンに注目するようになったら、
日本料理の長所が認められるようになると私は考えたのです。

現に昨今では一番大きな鮪が競り市で最高値段で
香港の業者に競り落されたし、また上海でもマグロは知らなくとも
トロなら知っているという中国人がふえて、
一ぺん来て支払いを終えた日本人がびっくりして
二度と来なくなるというのに、中国人の常連がふえて、
この調子だとそのうちに
日本でトロが食べられない時が来るんじゃないかと
心配されています。

ところが、福島の原子力発電の事故が全世界に報道された途端に、
香港の日本料理屋はどこも客足がとまってしまって、
連日開店休業が続いています。
鮪は日本近海で獲れる物でないといくら説明しても
誰一人きく耳を持たないのです。
「人の噂も七十五日」と言いますが、
諺の通りかどうかは実際に75日すぎてみないとわかりません。
いまのところもっとあとを引くようにも見えますが・・・。


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2011年5月21日(土)

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