中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4107回
どうせ贈与するなら早目の方が

日本経済新聞に「ゼイキン報告」を書いて、
同社から単行本として出版したら、
ベスト・セラーズとして広く読まれたので、
あッという間に私は国税庁長官の対談相手までさせられる
プロの扱いを受けるようになりました。
すると、月刊誌のあちらこちらから
税金の話を書いてくれないかと依頼を受けるようになり、
間もなく日本実業出版社の雑誌で
「事業家・資産家のための節税の実際」
という本格的に節約の必要のある人のための
節税の連載をするようになり、やがて単行本として出版し、
その後長くプロの読む本としてロング・ランを続けました。

新聞に連載をしている時は何百万という人を相手ですから、
どうやったら節税ができるのか、
微に入り細に入って解説を続けるわけには行きません。
しかし、税金で頭を痛めている多額納税者相手なら、
具体的に問題を取り上げることができます。

私がなぜ子供たちに贈与する時は
無税の範囲にとどめておくよりも、
少し税金を払って納税証明書を
もらっておいた方がいいと考えたかというと、
その頃、私は株をはじめていて、
証券会社の人から「ご自分の名前で登録をするよりも、
分散しておいた方が税務署にも目をつけられないですみますよ」
と言われて、子供の名前を使って株主の登録をしていたのです。

そうしたら或る日、突然、
税務署に呼び出されて
「子供の名前で登録されたのですね」
「おっしゃる通りです」と答えたら、
「ご自分の名前に戻されたら今回に限り無罪放免ですませますが、
もしどうしても子供さんの名前にしたかったら、
贈与税を払っていただくことになります」
と言われてしまいました。
とても話のわかる人たちでしたので、
たちまち茶飲み話になってしまって
私がいくらいくらで買っていま何倍になっているところです」
と説明したら、
向うも税金のことどころの話でなくなって、
熱心に私の話に耳を傾けるようになりました。
その話題が一段落したところで、
「時に贈与税を払うとしたら、おいくら払えばいいのですか?」
と私がききかえしたのです。


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2011年6月8日(水)

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