中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4119回
マンション・ブーム、中国の場合

中国では不動産ブームが全国を風靡し、
北京や上海はもとよりのこと、
全国の地方都市でも30階建ての高層マンションが林立しています。
20年前に香港が中国に返還されたら
「香港はゴースト・タウンになるだろう」と言った予言に対して、
「いや、大陸の香港化が起る」と私は異議を唱えましたが、
北京や上海はおろか、全国の隅々まで香港化が行きわたったのです。

むろん、その背景には
「世界の工場になる」という工業化があります。
工業化がすすむと新しい富が次々と発生しますから、
真っ先に不動産のブームがはじまります。
かつて日本で起ったのと同じことが中国でも起ったのです。
そういう動きを予想して、
私は多くの経済評論家たちの反対を押し切って、
北京にも上海にも成都にもビルを建てましたが、
マンションを建てるのだけは思いとどまりました。
日本での経験が頭にこびりついて離れなかったからです。

でもいま中国各地で一番成金になった人たちは
マンションを建てて一般庶民に販売した
マンション・メーカーたちです。
政府の役人たちとなあなあになって安い土地を手に入れて
そこに30階建てのマンションを建てると
コストの3倍でとぶように売れるのです。
「そのうちに大暴落するから危ないぞ」といくら警告しても
早くに手に入れた人は
不動産相場の値上がりした分だけトクをしますから、
マンションの売り出しがあると前の晩から行列ができます。

それが地方都市にまで及ぶと、
見ているこちらが心配になりますが、
地方の政府が銀行に70%の分割払いをやらせるので、
金のない者でも親戚友人から金をかき集めて
林立するマンション群がたちまち完売になってしまうのです。
「そのうちに日本のようにバブルがはじけるぞ」と警告しても
きく耳を持つ人はありません。
皆が皆、同じ立場だから、
「払えなくなったら政府がどうにかしてくれるだろう。
それよりもっと上がらないかな」
というのが一般庶民の本音なのです。


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2011年6月20日(月)

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