中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4146回
マンションの70%が借金コンクリート

約1ヶ月にわたって、
私は20ほどの中国の地方都市を駆けまわりましたが、
その中には久しぶりに訪れる町もあれば、
はじめての町もありました。

久しぶりに訪れる町は町並みが一変したことに驚くと同時に、
どうして中国じゅうが特長のない
同じ町になってしまったのかという無念さもあります。
古い町並みは動かすことができないので昔のままですが、
新しい町づくりは郊外に伸びて、
どこの地方都市も30階に及ぶマンションが林立して、
かつて私が予想した「大陸の香港化」を実現しています。

なかには新しい商店街ができて、
外国のスーパーを中心に
買物客が集まっているところもありますが、
大半が住人もいないゴースト・タウンで、
もしかしたらこのまま立ち腐れになるのではないかと
心配になる風景が続いています。
地方都市の長官たちがそれぞれ先を争って建設に熱中し、
頭金30%を払ったら、
あとは銀行から地方都市が融資を受けてできあがった金融会社が
お金を貸して完売と言うことになっていますが、
空家も少なくないようですから、
私の見るところでは、現実と理想の間に
かなりのひらきがあるのではないでしょうか。

中国人は日本人以上に不動産に執念を持っていますから、
値上がりのチャンスがあればどんな無理をしてでも
不動産にとびつきます。
頭金の30%だって、親兄弟、友人から
借りまくることが珍しくありません。
つまり現実にマンションを買いまくっているのは
お金を持っている人ではなくて、
借金をして買っている人たちなのです。

今後も値上がりが続けばいいのですが、
日本のようにバブルがはじけたらどうなるのでしょうか。
中国ではマンションを買っている資金の70%が
ご本人の金ではなくて銀行からの借金なのです。
建物は鉄筋ですが、手で叩くと中身は借金コンクリートなのです。
でも誰も心配してなんかいません。
本当に借金が返えせなくなったら、
政府がどうにかしてくれるだろうと思っているからです。


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2011年7月17日(日)

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