中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4165回
経営者の能力と人格が大問題

成長株の株価が期待通りに値上がりするためには、
その会社の業績が順調に成長する必要があります。
そのためには先ずお目当ての会社のやっている業種が
その時代の成長産業であるかどうかが何より大切です。

私が中国株に着目した10何年前は、
まだ中国経済が今日ほど発展しておらず、
それまで国営事業だった銀行や不動産会社や家電メーカーが
お化粧なおしをして
上場したばかりだったので、
私自身もおっかなびっくりで
どれにしようかときょろきょろしていました。
一番安全なのは、銀行とか、石油や電力の会社とかの、
国営事業でしたが、そうした中から次に成長する産業は
何かという角度で見ると、
どうしても先進国である日本や中国より
一足先に工業化の進んだ台湾で起ったことが頭に浮んできます。

日本だっていきなり自動車ブームになったわけではありません。
自転車の次にオートバイが普及して、
その後にマイカーの時代が来たのです。
ですから中国でも自動車の前にオートバイが普及すると考えた私は
オートバイのメーカーはどこだとさぐりを入れて、
山東省の省都済南市にある済南軽騎の株を買い、
わざわざ団体を組んで、現地まで見学に行きました。
しかし、今と違ってトップの人たちも出て来なかったし、
中国の各地で地方によって
オートバイを禁止する動きが見えたので、
株価が上がるどころか、逆の方向に動きはじめました。
とりわけ上層部が会社の金で株に手を出して
かなりの損害をあたえたことが露見したので、
私も嫌気がさして株を売っ払ってしまいました。

これが中国株で損を出した私の第一号ですが、
先ず間違っていたことは日本や
スモール・ドラゴンズに起ったことが
必らずしもそのまま中国でも起ると思い込んでいたことであり、
第二は経営を預っている人の能力と
人格をさして考慮しなかったことです。
1つ目は一ぺんでこりましたが、
2つ目は今なお私を苦しめている重大な問題であり続けています。


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2011年8月5日(金)

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