中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4166回
中国の製薬業界に目をつけたわけ

成長株は時代によって変わります。
その時代に需要があるのに供給の間に合わない産業は
その時代の成長産業です。
ですから造船業が成長産業だった時代もあれば、
家電産業が成長産業だったこともあります。

中国でも家電メーカーが大儲けの時代がありましたし、
電力が不足しただけに電力株が高値を呼んだこともあります。
しかし、それがいつまでも続くわけではなく、
供給が需要に追いつけば、
かつての人気株でも投資家から忘れられてしまいます。
そう言った意味では、日本と同じことが中国でも起るし、
日本と事情や環境が違うために、
中国では不発に終わることもあります。

たとえば日本では白黒テレビの時代がなかり続きましたが、
中国ではあっという間に白黒テレビをとび越えて
いきなりカラーテレビになりました。
また日本では有線電話が一通り普及してから無線に移行しましたが、
中国では家に有線電話がなくとも
いきなり携帯電話で用の足せる社会になりました。

ですから成長株を選ぶ場合でも
そうした違いを頭に入れておく必要がありますが、
たとえば人が健康に気をつけることは
貧乏な時よりも豊かになってからの方がずっと熱心なことは
洋の東西を問わないでしょう。
とりわけ中国人は食べることと健康に気をつけることでは
日本人よりずっと真剣ですから、
私は早くから中国の製薬業界に注目してきました。

というのも西洋医薬の歴史はまだ浅く、
中国の製薬業界で独自の研究所を持っている企業もほとんどなく、
上場している製薬会社でも
特許の切れた製品をつくっている水準でしかありませんでした。
今でこそ武田もエーザイも
アメリカやヨーロッパの製薬会社に
M&Aをかけるほどの大会社になりましたが、
私が株に興味を持った半世紀前は
まだ今の中国の製薬会社と似たり寄ったりだったのです。
私が中国の製薬会社に人一倍の関心を持ったとしても
おかしくはないのではないでしょうか。


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2011年8月6日(土)

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