中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4181回
銀行のピンチは視野の中にあります

香港ドルは米ドルにペッグしているので、
ドルが下がると香港ドルも下がります。
私たちのように中国株に投資している人は、
株価を香港ドルで表示されていますので、
人民元になおしても、また円になおしても
マイナス勘定になってしまいます。
その点、何らかの対策はないものでしょうかという
質問が相つぎます。

実は香港ドルで生活している人も同じ悩みを持っています。
香港の新聞を見ているとドルに釘づけにするよりも、
人民元にペッグしたらどうだという意見も少くありません。
でもこのことは私が決めることではありませんので、
中国政府や香港政府の当事者の意向を仰ぐよりほかありません。
ただ私たちが投資をしている企業は
いずれも中国大陸で事業を展開しており、
儲けも人民元で表示されていますから、
実質上、中国株と考えてよいでしょう。
その大半がタックス・ヘブンに本社をおいていますが、
これは節税のための措置ですから、
中国大陸における業績がどうなっているかの方が肝心です。

その点、アメリカ・ドルに大きな変動があっても、
中国全体が大きな影響を受けるわけではありません。
アメリカよりもむしろこれからの中国に
どんな変化が起るかに注目すべき時代に入っています。
中国で今、一番大きな問題は
輸入によって稼いだ莫大なお金が銀行を通じ、
更に地方政府の保証の下で、
マンションを買うだけの資力のない一般大衆に
マンションを買うための貸金を融資していることです。
アメリカで起った金融不安と
とてもよく似たお金の動きじゃないでしょうか。

もしこの先マンションの過剰が表面化して
不動産に下方修正の動きが発生したら、
中国経済全体にどういう影響を及ぼすのでしょうか。
政府がどういう対処をするかは私の判断を越えますが、
銀行が莫大な不良債権を抱え込むことは
避けられないのではないでしょうか。
日本と違うところは大半の銀行が国営企業であるということですが。


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2011年8月21日(日)

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