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第4183回
日本の政界はお金をもらう人ばかりに

世の中には事業をやってお金を生み出す人と、
そういう人に使われてサラリーをもらって生活する人と
二種類しかないとすれば、
サラリーマンの種が突然変異で
お金を生み出す樹に育つことはないんじゃないでしょうか。
しかも厄介なことにお金を生み出す人の遺した種が
お金を生み出す木に育つとは限らず、
むしろその逆になることが多いので、
「事業をやってお金を生み出す品種」は
ますます珍種ということになってしまいました。

しかし、そうした珍種はいつの時代にも必らず存在しています。
資本主義の勃興期に紡織機が発明されたイギリスでは、
労働者を集めて賃銀を払い、
利益をがっぽり独り占めした親方たちが
忽ち資本家の仲間入りをしましたが、
その非を鳴らして共産主義を唱えたマルクスは
分配の構造を一変させて、サラリーのもらい分を
とりあえず大ぜいの人たちの納得する水準まで動かしてきました。

それでもお金を生み出す珍種と
サラリーをもらう普通種が混血することはなく、
変わる世の中で次の時代の珍種が新しくお金を生み出して
サラリーマンたちを養うお金を渡す動きに変化はありません。
但し、利益を生み出す人と
その利益をもらって暮らす人の比率や勢力関係や発言権によって
社会全体が大きく左右されますので、
時代により、また国により、
大きな違いが生ずるのを避けることはできません。

たとえば少し前までは日本でも、
政界の中心はお金を生む人種に属する逸物がかなりいました。
しかし、二代目、三代目になると
国からサラリーをもらって生活する人ばかりになってしまったので、
もともと「お金を生む人」から税金をとり立てて
成り立っていた政府が
サラリーをもらってお金で生活する人に
完全に占領されてしまったので、
お金を生む人は全くいなくなって、
国全体がお金に困る方向に動いています。
その一方で、お金を生む人も企業も日本にはおられなくなって、
国から逃げ出すことばかり考えるようになっているところです。


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2011年8月23日(火)

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