中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4184回
このままで居残る人はどうする積り

「事業を持って利益を生み出す人」は少数で、
そういう人の手伝いをしてサラリーをもらって生活する人が
大多数というのはごく当り前のことです。
政府は大多数のサラリーマンから
税金をとり立てることによって成り立っていますが、
政府で働く人もまたサラリーをもらう人ばかりですから、
「利益を生み出す人」によって世の中が成り立っているのに、
そういう人はいよいよ少くなっています。

もしそうだとしたら、
そういう一握りの人たちが何を考えているか、
どういう行動をとろうとしているかが
国の将来を大きく左右します。
ところが今、日本で起っていることは
そういう人たちにとって日本はだんだんお金の儲からない、
住みにくいところに変わりはじめているのです。

円高を放任しているのもその1つのブレーキです。
人件費が昔に比べて、また近隣諸国に比べて
高くなっていることもその1つです。
更に人口構成が老齢化の方向に向っていて、
労働人口が減少する方向にあるのも不利な条件の1つです。
日本人が意外に排他的な国民で
外国労働者の受入れに拒否反応を示しているのも
日本の企業をマイナスの方向におとし入れています。

もちろん、日本の政府も少しずつは
閉じた扉のスキマをひらいています。
外国人労働者を入れないと言いながら、
原子力発電のトラブルで研修生や外人労働者が
一せいに引き揚げたために
作業現場がどんなに困っているかを見ても、
日本が時代の変化にうまく適応できていないことが浮上してきます。

もしこのままで推移したら、
「利益を生み出す人たち」は設備ごと海外に移転すべく
浮足だっているのに、
サラリーをもらって生活しているその他大ぜいの人たちは
外国に行くのもいや、賃金カットもいや、
ということで動きのとれない方向に向っています。
このままあと10年たったら、
日本の国はどうなっているのでしょうか。
お金の儲かる企業は海外に移り、
国内で成り立たなくなる企業は外国資本に買われてしまうのですよ。


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2011年8月24日(水)

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