中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4189回
中国で商売が長続きしないわけ

中国大陸における風俗習慣を知らないために
私自身も北京や上海で店づくりをするプロセスで
さんざんな目にあわされました。
自分がそんな目にあわされたのですから、
人には教えずに、
人にもその経験をさせないと不公平だと思う一方で、
できればそういう目にあわないですむようにと思う
親心もあります。

商売はお客様あっての商売ですから、
もちろん、どんな人を相手に
どんな商売のやり方をすればいいかが一番大切です。
ところが、中国ではお客のことに神経を使う以外に、
頭の痛くなるもめ事がたくさんあります。
店づくりをする場合、大抵は大家から店を借ります。
賃貸契約は先ず家賃をいくらにするか、
契約金はいくらにするか、また期間は何年にするか、
中国の場合は日本のような
巨額の保証金を要求されることはありません。
その代わり場所や事業内容によって
様々な条件で合意に達する必要があります。

商売をやる場合、一番大きなトラブルになるのは家主との関係です。
一流の百貨店やコンビニ・チェーンでさえも合意に達せず、
強制退去を強いられることが珍しくありません。
共産主義というのが国の看板なのに、
この国では家主の権力が信じられないほど強いのです。

私の場合は雲南省でコーヒーの栽培をやっている関係で、
コーヒーの販路をひらくために北京で何軒か、
実験的にコーヒー・ハウスをひらいたことがあります。
ロケーションはこちらが選ぶのですから間違いありませんが
契約期間が来ると、こちらがまだ赤字でも、
いきなり倍とか、3倍とか、家賃の値上げを要求してきます。
そのために先に期限の来た隣りの店が引越して行くのを見ると、
こちらだって落着いて商売をやってなんかおられません。
中国じゅうがめつい家主ばかりですから、
それに対処できることが先ず第一ということになります。
大抵の日本人はそういうことが頭にないので、
折角店びらきをしても同じ場所で長続きがしないのです。
これが先ず第一。


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2011年8月29日(月)

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