中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4190回
小役人の邪魔立てにどう対処する?

日本人が外国に行って一番とっつきやすい商売はレストラン、
食品関係、美容院と言ったサービス関係ですが、
もちろん、お客は一般大衆です。
ですからお客がどんな反応をするか、
商売を繁盛させるためにはどういう手を打つべきかが
最も大切なことは言うまでもありませんが、
もう1つ大切なことは監督官庁の邪魔立てに
どう対処するかということです。

食べ物関係は人民の安全のために、
政府が目を光らせる必要があるという大義名分があります。
少しでも違反があるとそれを罰する権限が
監督官庁にあたえられております。
これが小役人たちの小遣い稼ぎのまたとないチャンスになります。
たとえば、うちのコーヒー・ショップの冷蔵庫に従業員が
自分たちの昼食に食べるラーメンを入れていたことがあります。
そこへ来た検査官が
「営業品目以外の商品を売っているんだろう」と言って
営業停止の通知をしてきました。
いくら弁明しても聞く耳を持ちません。
最終的に本部のマネージャーが出て、
紅包で解決したことがあります。

またうちのレストランの1軒に
消防署の連中が食事に来たことがあります。
担当の総経理が不在だったので、
会計が一般のお客と同じように代金を請求すると、
三日ほどして「消防設備に不備がある」という名目で
3万元の罰金の告知状が届きました。
最終的にはその筋の知人を介して
1万元で片をつけてもらいましたが、
一事が万事この調子です。

日本にはこんなことはあり得ませんし、
日本人ではこんな場合、どう対処してよいかもわかりません。
日本人が一人で北京や上海に来て、料理の腕を見せても、
次から次へと起るお客相手以外のトラブルに
うまく対処して行けるわけがありません。
何回も次から次へとこんな目にあわされたら、
気の短い人なら店を閉めて日本に帰りたくなってしまいます。
逆に言えば、中国で立派に営業のできている人は
こうしたハードルを見事に乗り越えた人だと言うことになります。
あなたにそれだけの気力と才覚がありますか。


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2011年8月30日(火)

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