中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4194回
モンゴルと内モンゴルに30年の差

円高はまだまだ続く勢いを見せています。
これは日本経済の勢いが強いせいではなくて、
アメリカ経済の衰退の反映ですが、
こんなことが続くと、
日本国内で商売をすることはますます困難になります。

私はアジア中をあちこちとびまわっていますので、
いやでも国により、また地方により住んでいる人の勢いの違いが
目につきます。
たとえばモンゴル、内モンゴルと続けて見学に行きましたが、
すぐお隣なのに直通の飛行機すらとんでいません。
やむを得ないので、ウランバートルからもう一ぺん北京に戻って、
北京で飛行機を乗りかえて
烏海という内モンゴルの片田舎にとびました。

どうしてそんな片田舎までとんだかと言うと、
カシミアで名の売れたエルドスという会社が
周辺の資源に目をつけて
石炭の産地で10年前から開発をすすめてきた一大工業団地を
この目で見たかったからです。
何しろ地面を足で蹴れば下はすべて石炭という土地柄、
石炭を掘って北京や上海に売るより現地で火力発電所をつくり、
更にその電気を使って電気を大量に消費して金属加工をするという
着想を実現したのですから、
ろくに緑もない荒地に100に及ぶ企業が誕生したのです。

やっと町づくりがはじまったばかりの
ウランバートルの証券取引所や上場企業を見学したあとに、
同じような資源宝庫で開発が猛烈な勢いですすんでいる
内モンゴルの工業団地を見ると、
少くとも30年の差が目についてしまいます。
それは国力の差というよりは、
人間の頭脳の差、文化の差というよりほかありませんから
このままモンゴルの開発がすすむと、
モンゴルの富は大半が
開発に乗り込んだ外国資本と外国人の物になってしまいます。

私たちがこれらの地域でどうやって金儲けをするかも、
もちろん、重要なことですが、
モンゴルの政府が自国民の教育に力を入れることが
もっとずっと重要だという印象を受けました。
お金よりお金を生む頭脳が重要なのです。


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2011年9月3日(土)

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