中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4202回
金で金を儲けるタネが盡きたら

人間は楽に生活のできる道を見つけたら
汗水垂らして働くのはやめるようになります。
汗水垂らして靴をつくるより、
既にできあがった靴を右から左へ動かすだけで、
もっと楽に暮らせることがわかったら、
汗水垂らす仕事は他人に押しつけることになります。

でもそれがやれるためには
そうしたことのできる条件が揃っていなければなりません。
幸運なことにアメリカの経済力が世界中の信任を受けて、
ドルが世界通貨として通用するようになったので、
あれこれ理由をつけて政府が先頭に立って
ドルを増刷するようになりました。
そのドルがめぐりめぐって気がついて見たら、
靴をつくっている中国の靴メーカーのオーナーの手にも
渡っているのです。

もしこれらの日用品メーカーの手に渡ったドルを
一せいに金とか不動産にして返してくれと言われたら、
アメリカは立ち所に倒産してしまいます。
それがそうならないですんでいるのは、
アメリカのお金でお金を儲ける魔術師たちが
「ドルを持っていらっしゃい。
そうしたら、もっとふやしてあげましょう」
と世界中のドルを集めて理財に励んでいるからです。

お金でお金を儲ける空間はもちろんアメリカにもあるし、
世界中を見渡せばまだまだたくさんあります。
財産をたくさん持っているのに
ケチケチして配当に廻さない会社だとか、
後を継いだ経営者が無能なために、首のすげかえをすれば、
ちゃんとお金儲けのできる会社だとか、
うまくそういう会社を探がし出して建て直しをすれば
M&Aに成功してお金がお金を生む商売が成り立ちます。
でもそうしたタネがつきて、
不動産を買う能力のない人に利息は後払いにして
高い不動産を売りつけるようになると、
お金でお金を儲けるビジネスもそうそろ種がつきたぞ――
ということになります。
リーマン・ショックが起って
アメリカの経済がなかなか元に戻れないのは
アメリカのビジネスも
いよいよ種が盡きたぞということではないでしょうか。


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2011年9月11日(日)

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