中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4203回
貯めすぎも危ないと思いませんか

いまのアメリカ人がお金の使いすぎなら、
いまの中国人はお金の貯めすぎだと思いませんか。
長い歴史の中で、中国人は戦乱にあったり、
天変地異にあったり、食うや食わずの生活が続いたので、
いつももしものことが頭にあって、
お金の儲かるチャンスがあると、
使うお金も使わずに貯蓄に廻します。

日本人にも似たような傾向がありますが、
中国人はもっと徹底していて、
収入の半分は貯蓄にまわすという人は珍しくありません。
前に述べたカリフォルニアのチャイナ・タウンの話は
海外に出稼ぎに行って
千載一遇のチャンスに出会った華僑の話ですが、
この20年間、開放政策のおかげで高度成長のはじまった中国は
国全体が華僑の世界になったようなものですから、
皆が一せいに貯蓄に精を出すようになりました。

開放政策がスタートしてから
大人の仲間入りをした40歳以下の人は、
中国にとって新しい人種ですが、
それ以上の年齢の人は貧乏と飢餓の経験がありますから、
収入があってもそう簡単にお金を使いません。
国のリーダーをしてきた人は
いずれも貧乏と不自由の中に育った人たちですから、
いくら収入があってもせっせと勤倹貯蓄に励みます。
もちろん、子供たちにもそのことを執つこく教え込みます。

ですから国全体が稼いだお金を貯め込み、
何と外貨だけでも20年間に3兆ドルも積みあげてしまったのです。
その分だけ、あるいはそれ以上に貯め込まれたお金は
どこに使われるかというと、
現金のまま、あるいは株や金銀宝石に化ける分もありますが、
中国人の場合は先ず不動産に向います。
今の制度では土地は国の物ですから、
土地の上に建てられた建物が投資の対象になりますから、
建物が実需を無視して無計画に建てられ、
投機の対象になっているのです。
上海や北京の不動産などほんの数年前の10倍にも暴騰しています。
リーマン・ショックに匹敵する現象と思いませんか。


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2011年9月12日(月)

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