中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4293回
同じく不動産にも不動産株にも距離を

香港上海バンクの株価が60ドルを割るという
前代未聞のことが起りました。
少し前まで100ドル台で、2ドルか3ドル値下がりしても
大騒ぎになったことを考えたら隔世の感があります。
ということはリーマン・ショックの時も、
アメリカから受けた被害を小出しにして
少しずつ値下がりをして80ドルにおちたのが、
今度はヨーロッパと関係の深い分だけ
少々のことではすまない立場にあることを暗示しています。

銀行のことですから、最後まで秘密主義で貫くでしょうが、
株価は正直ですからはたしてどこに落着くことになるのか、
これは何も香港上海バンク一行だけのことではありません。
英国の植民地だった香港のことですから、
香港に本社をおく大半の銀行が
ユーロの被害をかぶることは先ず避けられないでしょう。

ですから銀行株は香港を本社とする銀行だろうと、
中国の銀行だろうと、避けて通るのが難しいことは
先ず間違いないでしょう。
香港の銀行にはユーロの問題がありますが、
中国の銀行には中国のバブルがはじけて、
不動産に対する融資の大量の焦げつきが発生する可能性があります。

既に毎日のように新聞を賑わしている通り
中国の不動産の値下がりが全国的に起っています。
今のところ、政府が先頭に立って
銀行融資や不動産の売買に制限を加えていることが
きっかけになっていますが、
不動産ブームがとまって逆転すると、
しばらくはさほど大きな値動きはありませんが、
日本でもそうであったように、2年か3年するうちに
すべての取引がストップして不動産の大暴落が
はじまる可能性があります。
もし日本で起ったのと同じことが中国でも起るとすれば、
それは2013年から以後のことです。
日本のような激しい大暴落にならなくとも、
不動産の価格が借入金を下回るようになると、
月賦の支払を続ける人がはたしてどれだけいるでしょうか。
「君子危うきに近づかず」ということなら、
銀行と不動産の株には近寄らないことです。


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2011年12月11日(日)

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